2022年の自動車の姿 その2 ~排ガス規制の現状~




 

前回のレポートでは、2022年という区切りを設定し、その間であればガソリン車はなくならないという話をしました。

ですが電気自動車など電動化は強く叫ばれていて、日本でも次から次にハイブリッドカーが登場しています。今後市場での割合はどんどん増えてくるでしょう。

 

今回は、

  • なぜ急速に自動車の電動化が進んでいるのか?
  • その背景は何なのか?

というところに焦点を当てて、レポートを書き進めたいと思います。

 

 

 

電動化が進む理由

電動化が進んでいる理由としては、「法律」「排ガス規制の強化」が根底にあります。

 

前者の法律については、

「2030年頃をめどに、新規のガソリン車の販売を禁止する法律」

と言うものが欧州各国の議会で検討され、ベルギーやオランダでは議会で可決されているという事を指します。

実際にこれが適応されるかどうかはわかりません。個人的には相当難しいと思っています。

ただ、国家レベルで検討されるくらいの大きなトレンドが動いているのは事実です。

 

後者の排ガス規制は、

排ガス規制のモードがどんどん厳しくなり、内燃機関車での対応が難しい状況にまで陥っている

という状況を指します。

今回は、この排ガス規制の強化について詳しく述べます。

 

 

排ガス規制の現状

排ガス規制は、国や地域ごとに制定されていて、その基準をクリアしなければ、その場所で車を売ってはいけないという決まりです。

 

今まで排ガス規制が厳しい有名所と言えば、欧州の「EURO規制」。これらは総合的に色々厳しい要求が有りました。

ちなみに日本も、CO2の排出ガス規制に関しては、現在世界TOPクラスの厳しさです。

 

変わりつつある新興国の法規

ですがここ数年で、その状況が大きく変わる出来事がありました。

Routes to Clean Air 2016 – James Wylie, Johnson Matthey

 

一つは中国。

中国では、「国4(CN4)」とよばれる排ガス規制が実施されていました。これはEURO5などと比べるとかなり緩い規格で、上記の先進国の規格を満足していれば問題ないレベルだったんです。

ですがここにきて、「国6  (CN6a,b)」という新たな排ガス規制が提案されました。国6a,bは全面的にEURO並みのレベルにハードルが上がり、CO2の削減率などは世界最高レベルの厳しさを誇っています(参考)。

2025年前後に適用を開始。都市部においては適用を前倒ししようという話も持ち上がり、世界に衝撃を与えています。(参考

 

もう一つはインド。

インドは数年前まで環境規制が無いに等しく、ほぼ野放し状態でした。

ですが昨今の都市部の急激な経済成長に伴い、規制を求める流れが強くなり、BSという規制が制定されました。

これも年を追うごとにレベルが厳しくなる規制でして、2020年前後からのBS6はEURO6並みの規制レベルに設定されています(参考)。暫くは適応地域が都市部のみになるでしょうが、徐々に全域に拡大されていくと思われます。

 

スズキなどはいち早くインドに飛び込み、日本で生産していた旧い車を微調整して再生産していました。これが大きな収益源となるとともに、インドでのブランド力を確立しています。

これも排ガス規制やその他の規制が緩かったからできた手法。今後はかなり厳しい状況になると、スズキ自体もコメントを出しています。(参考

 

強化されるCO2の削減要求

Clean Air 2016 – James Wylie_ – https___www.slideshare.net_ies-uk

世界各国で、2025年断面において2015年の半分程度まで、CO2の削減をするような法規要求が検討されています。

自動車メーカーのある技術者さんに話を聞いたのですが、

「真面目にコレに適応しようとすると、ガソリン車ではほぼ対応不可能」

とコメントされていました。

 

 

そしてRDE

そして極め付けなのが、RDE(Real Driving Emission)です。

簡単に言うと、

実際に公道で車を走らせた時の排気ガスを測定し、環境規制に適合するか確認する

という方法です(参考国交省の試験概略のPDF)。

 

http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/mag/15/320404/100300032/

このような、走行中の排ガスを回収・解析する装置をつけて車が走ります。

 

http://www.meidensha.co.jp/knowledge/know_03/enote/no5/index.html

排ガスの試験や燃費の試験は、車をシャシーダイナモに乗せ、タイヤをローラーの上にセット。その状態で、決まったモードで車を走らせる「台上試験」という手法で測定しています。

色々な理由がありますが、試験が簡便で、外部からの外乱因子を減らすことができ、結果が安定するというのが大きなメリットです。

 

 

この台上試験が問題視されたのが、VW社のディーゼルエンジン不正事件です。

 

VWのディーゼルエンジンシステムが排気デバイスに細工をして、台上試験時のみ、排ガス処理装置を作動させるプログラムを入れていたという不正です。

 

https://asagaku.com/chugaku/newswatcher/4725.html

ディーゼルの排ガス処理装置が作動すると、排ガスはきれいになるのですがパワーがガタ落ちになります。ドライブフィールが一気に悪化し、商品性が低下してしまいます。

そこで車速・舵角センサーやエンジンの回転数から、車が「今台上試験が行われている!」と感知するプログラムを組み、試験時のみ作動するようにしていたんですね。

ズルをしていたVWはもちろん糾弾されたんですが、「杓子定規なテストモードの運用をしていた」欧州の委員会も批判を浴びました。テストモードは完璧に同じサイクルで繰り返され、車に標準搭載されているセンサー類で容易に特定可能だったそうです。後にFIATなども同様の不正をやっていたとして、世界規模の問題に発展しています。

 

  • 「現状の試験モードは、実際の使い勝手に即していない」
  • 「試験は実際の走行状態で行うべきではないか」

こういった批判からRDEに注目が集まり、もともと段階的導入だった試験予定を、一気に前倒しするような強い働きかけが見られています。

 

RDEの厳しさ

RDEの厳しいポイントは、ざっくりいうと満足すべき領域がとても広がるという事にあります。

 

AV社の広報スライドより抜粋して作成

こんな感じで広がります。

今までの排ガス規制は、日常でよく使われる低回転&低負荷のときにピンポイントで満足するような規格でした。そこをターゲットに自動車メーカーは工夫すればよかった。いわばテスト前の対策ができたんです。

ですが、RDEは普通にユーザーが使うすべての領域が適用範囲。

低回転から高回転全部、急加速の時もそうですし、急坂を登るような低回転だけどエンジン負荷が高い状況とか。全領域で排ガスをきれいにしなければなりません。

これは相当に厳しいです。今まで使っていたセオリーが通用しません。

 

 

法規強化のまとめ

今まで何とかなっていた排ガス規制。

それが2022年と言う区切りにおいては、「ガソリンのみで走る車の存続が危惧されるレベル」まで世界中で強化される。

これがまぎれもないトレンドです。

 

 

じゃぁなんぜそんな年ごとに規制強化するの?

という話なんですが、

ちょっと長くなったのでコレは次の記事に書きます。

 

 
 

偏見レポートの一覧へ戻る

 
 




コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です