先日まで偏見レポートの中で、「近未来、2022年の自動車について」というテーマでコラムを書いてきました。
全6回で一旦完結です。
「それ以降の未来はどうなるの??」
というメッセージも頂いたんですが、正直2025年以降は書く気が起きません。。。なぜなら、未来が未来過ぎて、予測するのが非常に困難だからです。もっと言えば、
現時点での予測が無意味な変化が起こり始める。
沿う感じているからです。今の延長線上で、物事を考えること自体が無意味だと考えてます。
僕がそういった考えを持つに至ったのは、色んな所から情報を集め続けていたから。そして今回、その大本とも言える本を読むことが出来ました。
エクサスケールの衝撃
これです。
600ページ位有る本だけど、とても平易な言葉を使ってあるので読みやすく、あっという間に読破しました。本当に面白い。楽しさと怖さ、得体のしれなさ、そして圧倒的ワクワク感が同居する良書です。
そして僕が考えていたことが間違っていなかった、そしてもっと加速しているかもしれない…という確信を得るに至りました。
この本を読んで一つ言えるのは、
「これから人知を超えたレベルでの劇的な大変動が起こり、劇的に楽しくなる」
ということです。
Contents
エクサスケールとは
タイトルにもなっている「エクサスケール」というキーワード。
これは、コンピューターの性能を表す指標のことです。
コンピューターのなかでも「スーパーコンピューター」と呼ばれるマシンが有ります。世界で上位500の性能を持つスペシャルなコンピュータです。
これらは、FLOPS(フロップス)という指標で性能を評価されます。
1FLOPS=1秒間に浮動小数点数計算が1回できる
という指標。ざっくりいうと、このフロップスが大きければ大きい程、一度にたくさん計算ができるということですね。
カギを握るスパコンの話
スーパーコンピューターランキング「TOP500」は、数年前までは世界最速が日本製だったんですが、2017年6月時点では中国のスパコンがワンツーフィニッシュ。
その能力は、93ペタFLOPS。
えーと、1秒間に9京3000兆回計算ができます。
わけがわからん。
今の一般ユーザーが買えるPCは、ゲーミングPCを更に強化したワークステーションクラス(1台100万円超え)で、1テラFLOPS位。だいたい1秒間に1000兆回。最速スパコンの1万分1くらいの性能ですね。まぁこのレベルでさえ、一般ユーザーは絶対能力をフルに使いこなせないです。。。
で、計算速度がエクサスケールの大台になると、1エクサFLOPS=100京回/秒 になります。
5000兆円欲しい!というネタが流行ってますが、えーと、その・・・・なんばいだ??けいさんが・・・?
で、このコンピュータ開発競争は、今後もどんどん加速していきます。
「ムーアの法則」に従って、18ヶ月で2倍の速度でコンピューターの集積密度≒処理速度が加速していく。そろそろ限界なんじゃないか?と言われたりもするんですが、力技だったり新たな概念が出たりして、おそらく進化は止まらない。
とすると、2025年位に世界最先端のスパコンがエクサスケールに到達する、と本書では言われているのです。

https://gihyo.jp/book/pickup/2016/0012
計算速度の歴史を見てみると、指数関数的に上昇していくことがわかっています。
特に2011年頃に、急激に速度が伸びていることがわかります。
ココで何かがあったわけです。
そして2045年位になると、民間企業や研究所にもこのエクサスケールのスパコンが出回るようになります。世界同時多発レベルで技術革新が起こり、
文字通り世界が変わる。
というのがこの本の趣旨です。
それを説明するには、シンギュラリティという概念を説明する必要があります。
シンギュラリティとは
シンギュラリティという言葉、最近出回ってきていますが、日本語に訳すと「技術的特異点」という言葉になります。
ざっくり言えばこういうこと。
そこを越えてしまうと、爆発的に技術が進化する、というポイント。地点。時点。
シンギュラリティの以前、以後では、物事の技術的レベル・平均性能・概念がガラリと変わってしまうほどの変化をもたらします。それまでの延長線上ではなく、飛び抜けた進化、想像だにしていなかった事が当たり前のように起こるのです。
またシンギュラリティの直前直後は、性能レベルが指数関数的に上昇する事が知られています。
この本で一番面白かったのは、あくまで情報ベースというくくりになってしまいますが、
「全ての物事は、ある地点を迎えると指数関数的に成長していく」
ということが言えるという考え方です。この考えは目からうろこでした。最大級に面白いポイントです
車における技術的特異点
例えばこのブログらしく、車の例で説明してみましょう。

https://www.carsensor.net/contents/editor/category_849/_24905.html
こちらは平成年間における車の平均燃費を示したグラフになります。
これを見る限り、平成9年ほどまでは燃費が12キロぐらいで推移していました。それが平成11年以降になると、毎年燃費が伸び始め、平成19年ぐらいになるとさらに燃費はグイグイ伸びるようになっています。現在の平成29年になると平均燃費はリッター25キロを超えています。
これはまさに、指数関数的な燃費の上昇と言って過言ではないでしょう。
ちなみに平成9年(=1997年)にプリウスが発売。ヴィッツは平成11年。
平成13年(=2001年)に初代フィットが発売されています。歴史的に見ても、このあたりから燃費競争が加速していってますね。
爆発的に燃費が伸びている平成19年(=2007年)頃には、2代目プリウスの販売末期で、あらゆる車のハイブリッド&低燃費化が進み、現在の「燃費至上主義」の土台が完全に整ったといえます。
この土台が整った時点が、ある意味シンギュラリティ的なポイント。これ以降は燃費が爆発的に伸びていくのは皆さんご存知のとおりです。
あらゆる情報は指数的に増える
それ以外の情報についても、

https://spi-con.com/the-worlds-population/
人口は指数関数的に上昇

https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpaa200001/hpaa200001_2_007.html
食料生産の上昇も指数。ちなみにこのグラフの左側は、ずーっと1以下です。

https://life-consulting.blog.jp/archives/1057379861.html
人間(ここでは日本人)の寿命も、ある地点からは指数的に上昇。
様々な統計を取っていくと、ある地点、すなわちシンギュラリティポイント超えた段階から、爆発的に増加していることが見て取れます。どうやら情報というものはそういうものらしいのです。
スーパーコンピューターのシンギュラリティ以降で何が起こるか
さてここで本題に戻ります。
2025年に、スパコンがエクサスケールに到達して以降、何が起こるかについて話をします。
この本で述べられていた定義として、
- 2025年前後に一度目の変化である、プレ・シンギュラリティが発生。
- 2045年前後に、本番の大変化シンギュラリティが起こる
と言われております。
1回で大きな変化を迎えるのではなく、ある予兆的な段階があり、それを超えて進化が進んでいった結果シンギュラリティを迎える、と「エクサスケールの衝撃」では書かれていました。
ココでは先ず、プレ・シンギュラリティ ⇒ シンギュラリティの流れで何が起こるかを書いて行きます。
かなり衝撃的な内容になりますので、しっかり読んでいってください。

https://www.rakuten.ne.jp/gold/_event/business-insight/008/
- 先ずディープラーニングが進化し、人工知能 AIが急速に進展。計算のサポートをしてくれる。
- 核融合の精密な計算ができるようになり、水からエネルギーがほぼ無限に取り出せる。
- 今までわからなかった体の仕組みが解明され、老化をコントロールできるようになる。
- またバイオ燃料計の技術の研究が爆発的に進み、化石燃料で有限と言われていた石油系物質が無尽蔵に増殖。プラスチックなど石油系化合物の価値がなくなり、膨大な生活必需品がタダ同然になる。
- 無限のエネルギーをベースとした、圧倒的食糧増産に伴い飢餓が無くなる。衣食住のフリー化達成。
- そして人類は働かなくて良くなる。
- 本当のシンギュラリティを迎える。そうしたら人類の定義が変わり、新たなステージに進む。
・・・こういった、まるでSFの世界のようなことが言われています。
この内容を、
- 荒唐無稽なSF
- なんかよくわからない
- こんな風になるはずはない!
と思われた人もたくさんいるでしょう。ですが、そういった人たちにこそ、ぜひ読んで欲しいと思います。
かくいう僕も、最初は全く信じられませんでした。そうだよね。
いやいや、いくらなんでもこんなこと起こるはずじゃないだろ~~。と。
ただ尋常じゃなく解析する速度が上がると・・・
ということを、真面目に想像してみたんです。本を読みながら。
どんどん計算のスピードが上がって、高速・高密度・複雑な計算がができるようになると、シミュレーションの精度が圧倒的に上がってきます。なんでもシミュレーションできるようになる。
これを自動車開発に当てはめて考えてみたんですね。
エクサスケールを車開発に当てはめたら

今、自動車の開発で最もお金がかかるのが、衝突実験。
車の強度・安全性を確認するためには絶対に必要な試験ですが、車を一台衝突実験するのには、だいたい1億円近くお金がかかります。1回1億円。試作車両と設備ははめちゃめちゃ高いんです。
で、実際車をぶつけて出た結果と、コンピューターでシュミレーションした結果とをすりあわせていきます。答え合わせですね。ただ2017年の時点では、これがなかなか完璧にうまくはいかない。

理由は解析する際の細かさ・解像度、いわゆるメッシュと呼ばれるんですが、そのメッシュが非常に大きいからなんです。
詳細な解析をするには、細かく細かくメッシュを区切る必要があります。
例えばバンパーひとつにとっても、今だとバンパー100分割ぐらいで計算します。コレだとざっくりとした結果しかわかりません。この辺が歪むとか。この辺が弱そうとか。部品同士のつなぎ目などの複雑な部分を、高い精度で解析しようとすると、2000分割・3000分割といった分割が必要になってきます。
ただ現時点ではそこまで分割してしまうと、計算が完了せずエラーが発生してしまいます。今ではできるところまでのざっくりした計算しかでき無いんです。

これが超高速コンピューターを使うと、単純に速度が速いだけでなく複雑な計算もできるようになります。完了しなかった計算を力技でクリアできます。また、今衝突解析が例えば2週間かかっているとして、今の1万倍のスパコンを使うことができるようになれば、、、、、
2分で完了します。圧倒的に速いです。
何度も繰り返すシミュレーションからノウハウが溜まっていくと、実際に試験をする必要がなくなり、コンピューター上で全て完結できるようになるでしょう。
そしてコンピューター側からも、
- 「ココをこうした方がいい」
- 「この材料だとクリアできる」
- 「軽く速くするためにはこの構造」
という逆にアドバイスをくれるようになり、開発の速度が圧倒的に上がります。
そして開発期間が短縮され車のコストも下がってきます。
他の分野にもシミュレーション技術が展開されると
コレが他の分野にも当てはまるとなると・・・

例えば地球の環境シミュレーションをしたり、人類の体の中をシミュレーションしたりする。
その際に必要な、計算の解像度が飛躍的にあがっていきます。
たとえば世界規模で見た時に、自分の街の●丁目●番地レベルでの解析・予報ができたり、人間の細胞一個一個に近い形で計算ができたら・・・・。どうも、エクサスケールだったらそれができそうなんですよ。
車の解析と同じで、シミュレーションは、できることが大事。
最初はどんどんどん繰り返して、失敗しまくるでしょうが、それで精度が上がっていきます。最後は事前に災害や病気を予測したり、コントロールできるようになるでしょう。
台風をコントロールするためにはこうすればいい。こういう病気が起こった時は対抗手段をシミュレーションするとか。
こういったことを、今自分の仕事の中でいろいろ感じている「肌感覚」と突き合わせて本を読み進めていくにつれ、
- あながち嘘ではないかもしれない
- このくらいのことが起こるかもしれない
と本当に思うようになってきました。
人間、想像できることって実際に起こるんです。
むしろ2020年代に起こるとされている、プレ・シンギュラリティの段階で、
僕らの生き方・在り方・常識というものが、大きな変容を迫られるとほぼ確信しています
生き方が変わる
今盛んに言われてるのが、2020年ぐらいになるとこれらの職がなくなります~~というような煽り文句。
例えばタクシー運転手はなくなるとかレジ打ちが消滅するとか、このような一覧のものが出回っています。

実際これは遅かれ早かれ・・・などあるとは思いますが、最終的にはなくなって行くだろうな。というものは感じていました。
なんというか、この辺までは自分の頭でなんとなく想像できていたのですが、「エクサスケールの衝撃」を読みまして・・・・・
今現在予測されているレベルよりも、2つも3つも4つも上の次元に事態が進んでいるんだと感じ取れたんです。
ここからもっと進んで行くと、一次産業的な産業や、知的生産活動と言われている仕事も、人間がやらなくて済むようになる可能性が高いです。仕事がなくなると言うより、働かなくていい。
このあたりの詳細についての解説もサれているんで、ぜひぜひ本を読んでほしいんですが、
- 自分が好きなことをできるようになるという状態に以降する。
- 情報ベースの仮想空間と、現実の融合がどんどん進み、ほぼ区別がなくなっていく。
- 不老不死に近くなる。
- シンギュラリティ後は、人類の役目というものが新たなステージに移行。
- 生命とは何か、人間とは何か、という定義を個々人がしなければいけない状態になる
このようなことが、もう山ほど書いてありました
自分の感想
すごく思ったのは、怖いなと言う事よりも、ワクワクするという感覚です。
これと同じような中身が話がNHKでされて以前されていたんですが、
- 職がなくなるという恐怖
- AIがターミネーター的な強さを持つ
- 人工知能に人間が支配される
とかとか、そう言ったことを煽り気味に、恐怖ベースで扇動する様な、そういう番組を作りになっていました。まもちろんそういう事も考えられるんですが、 そうならないために僕たちは準備をしなければいけない。
そうこともこの本の中で提言されていました。
ただ僕たちに今できることは、正直そんなに多くありません。
皆さんにやってほしいこと
今この段階2017年と言う段階で、僕たちができることは、
まず情報を知ること
今後の行先や到達点を知っていれば、ある程度心構えや準備ができます。そしてその準備の有無という差は非常に大きいです。
だから僕はこのブログを通して、偏見bot を見ている皆さんに、この本は絶対に読んで欲しいんです。
アンケートを取って10代から20代の方々がこれから8割を占めている事もわかりました。
【質問ツイート】偏見Botの読者さんが、どういった方々か知りたいのでアンケートを取ります。まぁ9割9分男性だとは分かるので、まず年齢層を聞かせてください。
— 偏見で車を語るbot (@henken_car) 2017年8月15日
そういう未来溢れる方々に、シンギュラリティやプレ・シンギュラリティの概念を知っていただき、正しい情報と正しい心構えを持って、未来に進んで欲しいと思っています。
この本の著者の佐藤さんが有る講演で、
「シンギュラリティは2045年と言われていたが、30年代に大きく前倒しされるかもしれない」
と言われていました。
あと30年しかないと言われていたシンギュラリティが、もう20年少し後に迫っているということになります
だからこそ、皆さんこの本を一度手にとって読んで欲しいです
幸いなことに先日、600ページ以上あったオリジナルの原本を、4割程度に圧縮して要点だけかいつまんだ「抜粋版」が発売されました。価格も原本は3000円以上する非常に高価なものですが、1500円位に収まっています。これなら皆さん手に取りやすいと思います。
ちなみにKindle 版はもっと安いです。
漫画を2冊買う分だと思って、一冊このようなものを買ってみる。
また親と一緒にいる人は、これを買ってくれ!と願いしても良いでしょう。間違いなくそのへんの参考書よりも、勉強になること請け合いです。
まとめ
異常スーパーコンピューターの深海における未来予測のお話でした。
真面目にこう言った情報には触れておいた方がいいです。
今後転職などを考えている人たちも、本当に今転職をすべきなのか何を大事にすべきなのか自分の生きるアイデンティティとは何なのか。 そう言ったことがガラガラと崩れていく時代が、もうすぐやって来る。そういう認識を持っていた方が良いと思います。

また読んでくれた人は、Twitterやこのブログのコメントなどで、是非感想をください。読んだくれた人と感想共有をしたいです。
そしてある程度感想が集まったら、
- 今後仕事がなくなる、人間という価値観が変わってしまうかもしれない時代で、どのような行動を取るべきか。
- 時代が変わっても一番大事にすべき事はなにか。
自分がまとめたレポートを公開したいと思ってます
感想が少なかった、公開する意味もないかな~と思うので、ぜひたくさん感想をください。
不確定な時代の中で正しい行動を取るには、上質で正しい情報に触れ続けるしかないと思ってます。だからぜひ、この本を読んでください。
今後皆さんの行動において、何か一つよいきっかけを与えることができたのであれば、とても嬉しく思います。
以上です
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