自動車業界の就職対策系は需要ありそうだなぁ。後でまとめて書くか。この投稿に、いいねが50個ついたら最優先で書くよ。 https://t.co/QIzzC3GooJ
— 偏見で車を語るbot (@henken_car) 2018年2月24日
こういうTweetをしたら、あっという間に100件集まったので記事にします。
今回の記事は、自動車企業への就活の対策です。

自分たちがやっていたエントリーシートを書いてリクナビに登録して~~という流れから、もう10年以上経過しております。早いもんです。
と言うことは結構企業側もこのシステムに慣れてきて、逆に慣れてないのは初めて戦う学生さんってことになります。
シンドいし不安ですよね、就活。
何聞かれるんだろうとか、どんなことやっておけばいいんだろうとか。学歴フィルター有るよねとか。教授のコネは必要じゃないの?とか。バイトリーダーやったり、サークルとか学園祭の運営リーダーやっておいたほうがいいんだろうか?とか。
そういった疑問があるかと思います。
今回は、自分が就活をして会社に入り、10年以上働いて、人の出入りを色々見てきた事をベースに、「こういう子なら採用されやすいだろうなぁ」というイメージ像と、戦略を描いてみたいと思います。
就活とは
まず就活の全体像です。
就職活動とは、
「自分を会社にアピールする機会」
と考えている人が居ますが、コレは不合格です。
「クルマ好きなので、スポーツカーを作りたいです!」
「自分コレの開発をやりたいです!」
こういう人が掃いて捨てるほど、
ほんと捨てるほど来るので、
人事「またこの類か、だったらめぼしいやつだけピックして、後は大学名である程度ソートして・・・」
となるわけです。
ココで大事なのは、そのめぼしい奴になる事。
そのためには、就活とは何かを理解する必要があります。
就職活動とは
「会社に自分を雇うメリットをオファーする場」
です。
エントリーシートと、筆記試験、グループディスカッションや面接。
これら全て、会社側が「こいつ雇うメリット有るのかな?」と品定めをしていると思ってください。
身も蓋もない言い方かもしれないけれど、就活生は商品です。

例えば「美味しいりんご」だったとしても、その美味しさを上手くPR出来なかったら、お客さんは手に取ってくれません。
逆にりんごに対して一定の需要があるスーパーとかで売られても、同時に200個のりんごがあったら、取ってもらえる確率は下がります。
みかんを欲しがっている人が多い所に飛び込んでも、りんごは殆ど売れないでしょう。
需要がある場所で、いかに輝くか。これが勝負です。
次にやっておいたほうが良いことを書いていきます。
企業分析
孫子の兵法ですね。ビジネスでめちゃ役に立ちます。
このセオリーに則って、自己分析には力を入れる人が多いんです。
が、それよりもやるべきは、入りたい企業を分析すること。敵を知ることです。
大企業への就活は、マーケットインでやってください。
マーケットイン 市場の徹底的リサーチで、顧客の欲求をあぶり出し製品化するモノづくり。売れないリスクは排除しやすいが、二番煎じになる事も多い。「そうそうこんなのが欲しかった!」という顧客自身が気づかない潜在ニーズまで深掘りできれば、指名買いで市場席巻できる pic.twitter.com/9miYtN3q3u
— 偏見で車を語るbot (@henken_car) 2017年8月23日
徹底して企業をリサーチし、
- 今どういった課題を持っているのか
- どんな人材を欲しがっているのか
- 今後どういう方向に進みたいのか
こういった情報をあぶり出します。
そして出てきた情報と、自分の専攻・得意分野を絡めて、「行きたい企業が抱えている問題を、自分が解決するお手伝いができる」というオファーをするんです。
- 自分の能力を御社で発揮させたいです!!
- 自分が解決します!
みたいな感じだと何様感が出るので、
- 解決するお手伝いをさせてください
- 勉強した技術を活かして、車作りをさせていただきたい
位のノリが好感度高いんじゃないかと思います。
これが基本戦略となります。
それでは具体的な方法を書いていきましょう。
企業分析の具体的な方法①
入社したい企業のホームページの、ニュースリリース・企業情報を読みます。
取り敢えずは、3年分くらいは全部読む勢いでいいでしょう。

例えば、今回はホンダさんを例に出しましょう。
右上に、ニュースリリースという項目があるのでそこを開きます。

色んな情報が出てきました。
これは会社の公式発表なので、会社の声です。今までこうでした、これからこうしていきたいです、という表明ですね。
幾つかピックアップしてみたいと思います。
- 「FC EXPO 2018」出展概要 ~「つくる・つかう・つながる」技術を通じたHondaの水素社会への取り組みを展示~
- 中国のNeusoft傘下のReachstar社に出資しカーシェアリング事業で提携 ~電動化・カーシェアリング事業を加速~
- 「CES ASIA 2017」Honda出展概要 ~生活の質を高める新価値提供に向け、AI・ビッグデータ・ロボティクス技術を活用したオープンイノベーションを加速~
- 東急不動産ホールディングスとHondaが、既存の郊外型住宅団地「季美の森」で高齢化社会対応型スマートコミュニティの実証実験を今夏より開始
- ソフトバンクとHondaが第5世代移動通信システムを活用したコネクテッドカー技術の共同研究を開始
ちょっと抽出が恣意的かもしれませんが、ホンダが電動化に大きくシフトしている事が読み取れます。
電気自動車、水素燃料電池車、AI・スマートコミュニティ・コネクテッドカー。こういう方向にかじを切っていくのは、ほぼ間違いないでしょう。
株主向け情報について

株主向けのIR情報や、決算系の情報については眺めておく程度でOKです。貴重な情報がちりばめられていますが、ちょっと細かすぎるし、なれない人が分析していくにはちょっとハードルが高いです。
ただ眺めていて、
例:「減益となったのはタイに新規工場を建設したため、その設備投資分である」
と言った文言が出てきたら、工場が何をするために作ったのか?ということを調べてみましょう。「会社名 タイ 工場 新設」とかで調べると、今後タイでバイクをたくさん売りたがっているとか、そういったことが分かるはずです。
企業分析の具体的な方法②

また、グーグルニュースで過去のアーカイブを検索してみると、数年分のニュースが保存されていて読むことが出来ます。
例えばグーグルニュースでホンダとアーカイブ検索すると、

このような形で過去記事がずーっと出てきます。
レースやエンタメ情報を除き、企業の動向について絞ってニュースをピックアップすると、
- ホンダ、寄居をEV拠点に 余剰生産能力は削減
- ホンダ、グーグル系と自動運転研究 米の公道実験に車両提供
- ホンダと日立オートモティブシステムズ、電動車両用モーター事業の合弁会社設立に関する記者会見
- ホンダ、純利益が1兆円 トランプ減税効果で過去最高
- 「シビック」国内販売再開に秘められたホンダの反省
こういった情報が出てきます。やはり今後は電動化中心の流れのようですね。
シビック国内販売についての記事をリスト化しましたが、「シビックのようなグローバルモデルを使ってブランドを高めたい」との言葉があり、シビックが国内で販売された理由がおぼろげながら掴めます。注力はしないけれど見捨てていないってところでしょうか。こういう読み取りも重要です。
企業分析の具体的な方法③
今までは企業の未来を中心に、方向性を見定める方法でした。
つぎは、今現在課題となっていたり、人がほしいところがどこなのかを調べます。

使うサイトはリクナビネクストです。
中途採用のサイトですが、「今企業が欲しい人材」というのがダイレクトに書いてあります。基本的に即戦力募集なのですが、新卒の募集でも参考になる情報は多々あります。
部品メーカーさんが多いですが、完成車メーカーさんも載っています。

例えばデンソーさんを検索
- 自動運転、高度運転支援システムの開発設計
- 【回路設計経験を活かす】自動車製品開発
- 【通信・ソフトウェアエンジニア】自動運転実現に必要な通信技術
- 次世代の製造現場を支える生産技術職
- 自動運転に向けた機械学習技術(画像認識)のアルゴリズム開発
こちらも電動化・自動運転的な領域の募集が多いですね。
回路設計なども有りますので、ソフトウェア制御関連の技術がやはり求められているんだと感じます。

例えばマツダさんをリクナビネクストで検索すると、
- 【パワートレイン生産技術/素材領域】環境設備設計/ISO14001業務など
- 【パワートレイン生産技術/素材領域】鋳造/ダイカスト金型の3D・2D設計
- 【パワートレイン生産技術/素材領域】素材生産設備設計/量産準備業務
- 【財務・経理業務】数値把握や分析を通じて経営や事業判断を支援
こういった業務が出てきました。
工場系で人が足りないみたいです。これから生産を拡充していくのかもしれません。金型設計などは、機械系の本領発揮ですね。
あと財務経理では、詳しく見ていると海外展開に関する項目があったので、英語・海外税法に関する素養なども必要とされるでしょう。
こういった情報からも、今すぐに求められている人材はどういう人なのか?という事があぶり出されます。
企業側に目につくオファーを作る
さて、企業側がどういう人材を求めているのかが分かってきたら、自分の専攻・得意分野との関連性を調べていきます。

例えば「自動運転」というキーワードに対してせめて行くなら、すごくざっくりいうと、
- プログラミング
- 情報処理・アルゴリズム
- 画像工学
- カメラ/センサー工学
- 制御工学
- 通信工学
こういったアプローチから攻めていけそうです。
「御社の自動運転技術の取り組みに対し、自分はレーザーセンサーについて研究をしてきましたので貢献できます!」
「具体的には、御社の自動ブレーキシステムがこのような流れになっており、今後の自動運転化でもこのシステムは使われるでしょうから、レーザーの出力・受光など開発でお力になれるとおもいます」
みたいな。こういうのがPR出来たら素晴らしいですね。
もう少し深掘りするのであれば、今の技術のトレンドがどういった傾向にあるかも、出来る限り把握しておきましょう。
直接その分野を勉強していなかったとしても、その周辺分野を勉強していたりしたら、それも強みとして活かせます。
参考:今の前方自動ブレーキのセンシングは、単眼カメラ☓レーザーレーダーセンサーの組み合わせが本命

あと、このままだと機械系の人たちが涙目すぎると思うので、フォローを入れておきます。
機械系の人たちが活躍する分野が無くなることはないです。むしろ高度化していきます。制御との協調、それから軽量化ですね。これはしばらく無くならないでしょう。
制御関連の知識を持っているのがベストですが、制御と四力学を同時に学べる学校なんてそう無いでしょうから、機械系で特化した武器を持っていたほうがいいです。
軽量化を軸に考えた場合、
- 材料力学、流体力学
- 金属の特性
- プラスチックの知識
- 鍛造・鋳造などの知識
- シミュレーションソフトの中で動いている計算の概念
こういった分野に、なにかしら特化する知識・経験があれば、それを武器に切り込んでいけるでしょう。
「車両の軽量化に向けて、樹脂系の知識を下にお役に立てると思います。」
「将来自動車で扱われる可能性が高い材料の、研究をやっておりました。」
とかのアプローチですね。
機械系の動向は、自動化の影に隠れてあまり表立ってPRされていないのですが、着実に進化しています。業界動向を見ながら自分が攻められるポイントを探っていきましょう。
大事なポイント
この手の対策案や、解決の役に立てそうな技術とかって、同頑張っても学生の浅知恵なんで、100点満点は不可能なので安心してください。
かっこよくまとめる必要はなし。
解法の正しさよりも、会社の状況をいかに調べているか、自分の強みをどう捉えて、会社にすりあわせてきているかとかのほうが重要です。
あぁ、この子はしっかり自分で手を動かして考えたんだなぁ、ということ、案外面接官や評価者には伝わるものです。
まとめ
ココまで書いて薄々感じた人がいるかと思うんです。
「…けっこう大変じゃね?」
って。
うん。ぶっちゃけシンドいよ。
だから、本当に行きたい企業を片手で数えられるくらいで、絞ってやったほうがいい。
何十社もこれやると力分散するし、分析も薄くなる。表面しか見なく成る。
集中して、じっくり分析&すり合わせをしていってください。
頑張れ!

それから、ほんとうに真剣に1社やりきったら、やる方法とか勘所が見えてくるので楽です。同じことやればいいだけだし、いらない情報がわかるようになります。そうなると後は超早い。
こういうのが仕事で重要なんだよね~。
やったことがない新しいことを、とにかくがむしゃらに、人に聞いたり篭ったりしながらやってみる。効率悪かろうとなんでもいいからやり切る。
そしたら道筋が見えるから、その段階で初めて効率化を考えるんだ。量が質に転換するのよ。いらない部分がわかるから、進化できる。
だから頑張って1社やり抜くんだ!!
フォローアップ
それからもう少しフォローしておくと、学生時代からの車好きって、今結構少ないのよ。ほんと。
自分部品メーカーだから、わりと変態が揃ってるんだけどね(例;TwitterのアイコンをFIATムルティプラにする30代
完成車メーカーさんの話をきくと結構悲惨でね。。
- 車のこと全然知らないけれど、安定してそうだから選びました。
- 車は特に好きじゃないです。仕事として割り切ってます。
みたいな野郎も結構いるんだ。
だから、車が好きです!ということを熱っぽく語れて、なおかつこれまで長々と述べた方針を理解している人って、相当強いと思います。
殆どが「自分こんな車作りたい!」で止まっているからね。
相手が欲しがっているものは何か?
これを常に考えて、先回りして提案できるようにしましょう!
フォローアップ2

あともう一つフォローを入れておくと、希望の会社に入れなかったり、希望の職種に就けなかったとしても、絶対に腐らないことです。
自分は「人生長い論者」なのですが、最初から希望の職業に就けなかったとしても、ゲームオーバーではないと思っています。むしろ回り道したほうが周辺に付随する知識を得ることができるという見方もできます。
それに今は転職するのが当たり前となってしまっているので、しばらくその職業で勤務してから、転職するというのも全然ありです。人生幾らでもチャンスは有るよ!
腐らず、目の前の仕事をしっかりこなすことが、意外と自分がやりたい道への最短ルートだったりすることもある。
自分はそう思います。

https://www.shinoharashoten.com/info/
そういうわけで、就活生の皆さんがんばってください。
不安だったり質問とかがあったら、BLOGのコメントや、TwitterでDMをください。出来る限りフォローします。
よろしくです。
こんにちは、私は大阪のある工業高校生(機械科)に所属しています。高卒で就職しようと思っています。
質問させてください。
求人票を見て某自動車メーカーの工場で自動車の製造、工作機機械のメンテナンスの仕事の募集がありました。
私は開発系(ボデー開発)の仕事がしたいのですが、やはり大卒で無いと、開発系は厳しいですか?
もし高卒で就職しても昇進や、開発系に配属されることは無いのでしょうか?
よろしくお願いします。
>中谷さん
こんばんは。
全くありえない話ではないです。ただそれなりに時間はかかると思います。
まずはメンテで経験を積み、工作機械・製造工程については誰よりも詳しくなり、そこから開発の人と遣り取りをする中でつて・コネを作って… という流れでしょうか。
大卒の開発の人に食らいつける位の、機械力学・材料系の勉強は並行して積む必要は有るでしょうね。なんだかんだで開発の仕事は、複数の制約事項から回答を導き出す必要があるので、思考力は必要です。
また、実際の製品を触れるのは限りなく強いです。工場労働者ではなく、生産を司る「技術者」として成長していったら、開発の方と丁々発止でやり取りすることも多数あります。工場サイドの方の意見で、よりよい設計に変わることも普通にあることです。
そういった事で、製造・工場勤務の方がやりがいを感じた!という人も多いです。
志を高く持って、開発の人とやり取りをしながら、いつかは開発の仕事をするんだ!と強く気持ちを持って仕事をしていってください。
大丈夫、コツコツ経験を積んで、気持ちを切らさなければ道は開けます。
返信ありがとうございます。
あと一年高校生として時間があるので必死に勉強します。
必ず自動車メーカーに就職して
夢を叶えたいと思いました。
後押ししていただきありがとうございました。