トヨタ・bB ベースとなったファンカーゴ等の設計基礎があったため、スープラ主査の多田氏の下、フルデジタル設計という試作車レスの開発をされた一台。狙い通りに若者に売れ、狙い通りに信じられない程改造され、そして乗り捨てられていった。某掲示板でBaka & Bitch という最低な渾名をつけられる pic.twitter.com/WTHbczEZvy
— 偏見で車を語るbot (@henken_car) November 9, 2019
日本自動車史に残る名車、初代ヴィッツとプラットフォームを同じにする、真四角なクルマ。
当時20代の若者をターゲットにした、アメリカンテイストなボクシーなデザイン。
一時期売れに売れました。

ツイートではメタメタに書きましたが、実際ヤンキーとか輩とか呼ばれたりする人たちが乗っていたのよね。
地元の田舎の方でも、夜のコンビニやドンキには絶対停まってました。
そういうところを狙った、ある意味あざといクルマでした。
「流行はヤンキーとおばちゃんが作る」
というの事を、以前お話したことが有る雑誌編集者の方が言われていましたが、そのアプローチを採用し、見事大ヒットを収めました。
今で言うアルファードやエスクァイアとかに通じる流れですね。昔はソアラとかも。
でも意外と難しいと思うのよね。そういうマーケって。
ガチ富裕層ではなく、そういうのに憧れる人たちの琴線を揺さぶるのが本当に上手。
そういうのって昔からトヨタはうまい。
開発経緯について
コレまたツイートにも書きましたが、元々ヴィッツやファンカーゴのベースがあったため、基礎設計段階では試作車を作らない、シミュレーションベースの設計をされたそうです。
試作車って、ヴィッツなどのコンパクトカーだとしても、1台数億円近くかかることもザラにあります。量産効果の薄いスペシャルパーツの塊なんですよね。。
このクルマに関しては、上記の設計的な基礎があったということと、デジタル設計への見通しが立ったこと、そして
「ある程度乗り味がガバガバだったとしても、購入者には許してもらえるだろう」
という算段は間違いなくあったと思います。偏見ですが。

走りを求めるクルマでもないから、サスペンションも柔らかく、シートとかもかなりフラットでホールド性とか重視されていません。ステアリングも緩め。

メーターもすんごい小さい。(一応タコメーターは付いている)
乗り心地はいいとは言えない。
それでも、日常の取り回しで不満を感じるレベルでなければ、こういう物として受け入れてもらえるだろう
といった「見切り」をしていたんでしょう。
まぁそのへんの絶妙な塩梅がうまいのが、トヨタの凄いところだと思うんですが。
オートサロンでデビュー

Wikipediaを見たら、興味深い記事が書かれていました。
2000年1月7日の幕張メッセで開催された東京オートサロンで、当時として異例の先行発表としてbB専用ブースを設け、ノーマルカーを一切置かずカスタムカーのみで初お披露目された。
それらはトヨタのカスタマイズ部門モデリスタのストリート・ビレットとディラーオプション装着車のキャルルックとSUPER V セレクションの3台と共に、
トヨタが選抜した当時人気のあったアフターマーケット・メーカー8社の
- ダムド
- Gスクエア
- ヴァルド
- データシステム
- ゼノン
- ジアラ
- ラッキースター
- ケンスタイル
からオリジナルエアロパーツを身にまとったドレスアップ/コンプリートカーの合計11台のbBが展示された。
なお、アフターマーケット・メーカー8社のエアロパーツ共々、日本全国のネッツ店で購入し装着する事が出来た。
※一部や句読点追加や改行などの編集を実施
今でこそオートサロンで新車を発表することは結構普通になりましたが、当時としてはかなり異例だったようです。
また自動車メーカーがカスタムパーツブランドと協力してエアロを作り、なおかつそれをディーラーで購入・装着できたということは、今でも結構驚きです。

純正並みの品質までは到達できないかもしれませんが、車検に適合するデザインとか、ある程度の強度、取り付け性とか、要件は間違いなくあったはずです。
そこ擦り合わせたんだろうなぁと思うと、20年前は面白いことやってたんだなと思わされます。

こんな販促品をメーカーが出していたくらいですからね。
当時のオートサロンの様子

このフォント、勢い。

キャンギャルさんたちのコスとかメイクに時代を感じます。
展示された車両はコレ。



実際にメーカーの思惑通り、カスタムベースとして、この後の2代目を含め、音響系カスタムや派手なカスタムをした車両が多数現れました。


そして流行の終焉、車体の老朽化とともに捨てられて行きました。
これがbBの一つの側面です。
偏見のTwitter投稿でもそう書きました。
意外と今も見るクルマ
ただ最近よく観察してみると、2020年現在でも、bBを意外と見るような気がしています。
ノーマル車両が。
年配の方や、20代後半の女性の方が意外と運転していたりする(昔eggとか読んでた様な感じはしない)。
昔買ったものをそのまま乗り続けていたり、譲ってもらったのか。
きれいに乗っている姿を意外と見るんですよね。

まず窓が大きく見切りがいいです。それからフロントのウインドウが立っているので、心理的にプレッシャーを感じづらい。
なによりボディデザインからクルマの「四隅」の位置がわかりやすく、運転する時に気をつけやすいというのも見逃せません。
この車からソリオに移った高齢層も少ないと思われます。
— S-GHR( ゚∀゚)o彡°AMD! RYZEN! (@SGHR275) November 9, 2019
これって運転しやすいクルマの条件の一つだと思います。
こういうところからも、幅広い年齢層に売れたというのも頷けます。

室内はコンパクトカーながら、2020年目線で見ても結構広いです。窓を立たせて肩周りの空間を確保しているので、より広さを感じます。

荷室も広いです。ダブルフォールディングするとこの通り。
意外と実用性高め。
ヴィッツは少し小さく感じ、ファンカーゴは荷車!という印象を受けてしまうという人にとって、ディーラーで並んでいたbBを興味本位で眺め
「あれ?いいかも?」
と思うのもなんかわからないでもないです。

先日見かけたオレンジなんかは、意外と悪くない。
ふと思ったけれど、コレリアをスライドドアにしたら2020年現在大流行しているプチバン、タンクやルーミー辺りとコンセプトがカブる部分有りますよね。
ボクシーなデザインで、室内空間も広い。
意外と今の需要にマッチしている車かもしれないなぁと思ったりもしました。
あとCVTではなく、クラシカルなトルコン4ATなのも大きなトラブルがなく生き残った理由かもしれません。
bB TRDターボなるものが有るらしい

TRDで研修を受けたディーラーメカニックさんがいるお店(全国で9店舗くらい)で取り付けできる、メーカー純正チューン。
それがTRDターボです。
ヴィッツRSとイスト、そしてなんとbBも対象になっていました。
40馬力以上アップし、トルクは25%増しです。

別記事のインプレを読んだら、車の性格上直線番長らしいです。うん知ってた。
元々コラムATなので変速が自由にできず、シートのホールド性能も低い。
ハンドリングもゆるゆるで、直線だとそれが良い方向に働いていたのが、ワインディングだと舵角が大きくなって忙しい。
つまりワインディングには向かない。
ただ太くなったトルクは間違いなく好印象で、スロットルを踏めばどこからでも力が出る感覚が楽しい。
スポーツサスを入れていても、ズシン!ドシン!という粗さを軽量な車体ながらもカットしているのが感心した
なんてことが書かれていました。
1回乗ってみたいですね。
まとめ

本当にたくさん見かけた車でした。
カスタム車両は意外に生き残っている事実や、5年の販売だったことを考えると、かなりの台数生産されたんだろうなぁと思います。
本来カローラやマークIIを買う層すらこの車を買っていったそうで、単発では大成功ですよ。「ブーっと丸い車(90‘sトヨタデザイン)嫌い」って層も結構いるので余計に。
トヨタ内の“御老中”“ご意見番”を振り切って発売した経緯は痛快さすら。
— おなかぷよぷよ@技術情報収集 (@tweetest8) November 10, 2019
ツイートでは「あくまでもキャッチーな言葉を選ぶ」という前提でかなりひどいこと書きましたが、フォロワーさんの多数のコメントで結構考え方を改めた部分があります。
車っていろんな見方をしなければならないなぁと、再認識させられました。

ちなみに北米ではサイオンブランドで、xBという名前で販売されていました。

こちらは5MTもあります。部品まだまだ出るはずです。
実用的な珍車好きの方、ぜひ候補に入れてみてはいかがでしょうか。
主要諸元 Specification(1.5 Z Xバージョン)
基本性能 Basic performance
型式 | GH-NCP31 | 最小回転半径 | 5.5m |
---|---|---|---|
駆動方式 | FF | 全長×全幅×全高 | 3.85m×1.69m×1.64m |
ドア数 | 5 | ホイールベース | 2.5m |
ミッション | 4AT | 前トレッド/後トレッド | 1.45m/1.44m |
AI-SHIFT | – | 室内(全長×全幅×全高) | 1.97m×1.38m×1.36m |
4WS | – | 車両重量 | 1040kg |
シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | 1315kg |
ミッション位置 | コラム | 最低地上高 | 0.17m |
マニュアルモード | – | ||
標準色 |
ブルーマイカ、スーパーホワイトII、ボルドーマイカ、ブラック、イエローマイカメタリック、グレーメタリック |
エンジン Engine
エンジン型式 | 1NZ-FE | 環境対策エンジン | – |
---|---|---|---|
種類 | 直列4気筒DOHC | 使用燃料 | レギュラー |
過給器 | – | 燃料タンク容量 | 45リットル |
可変気筒装置 | – | 燃費(10.15モード) | 15km/L |
総排気量 | 1496cc | 燃費(WLTCモード) | – |
燃費基準達成 | – | ||
最高出力 | 110ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
143(14.6)/4200 |
足回りSuspension & Tire & Brake
ステアリング | 位置 | 右 |
---|---|---|
ステアリングギア方式 | パワーアシスト付ラック&ピニオン式 | |
パワーステアリング | ◯ | |
VGS/VGRS | – | |
サスペンション形式 | 前 | ストラット式 |
後 | トーションビーム式 | |
高性能サスペンション |
– |
|
タイヤサイズ | 前 |
185/65R15 |
後 |
185/65R15 |
|
ブレーキ形式 | 前 |
Vディスク式 |
後 |
ドラム式 |
主要諸元は、カーセンサー様から引用させていただきました
Extracted from Carsensor website.
コメントを残す